◆◆◆みどりの風 NO.3◆◆◆
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2000.1.1
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●日本を真の民主主義国家へ |
現在日本の社会の様々なところで起こっている出来事を考えるときに果たしてわが日本は真の民主主義国家なのか疑いたくなる。「モラルハザード」といわれる“倫理の喪失”がいたるところで起こっている。例えば県政においては豊島事件、国においては、金融機関の無責任なもうけ主義の投機による破綻、それを監督することができなかった大蔵省、それどころか天下った銀行では公人として模範となるべきところ先を争って私服を肥やしている有様である。金融安定のためつぎ込んだ税金はなんと70兆円、株の暴落、土地の下落によって失って奈落の底へ突き落としてしまった政府、しかし決してその責任はとらず空前の赤字国債によって必死に景気を上向かせようとしている。それもこれも結局は現在及び将来の国民への「つけ」なのである。 長銀(日本長期信用銀行)へは約3兆5000億円の税金を投入したあげく外国の会社へ売却するのである。それが現在一番安上がりだという理由だけで。 議会政治のおこりは、絶対王制の時代国王の濫費と重税を制限することにその源を発しているといわれている。アメリカでも1980年代金融機関の破綻があり、その時税金を投入する代わりに何千人もの経営者が責任を問われ禁固刑となった。 国会は国民の代表としてもっと銀行を追求しなければない。これでは誰のための代表かわからず、公的資金の一部が政治資金として政界へ還流しているのではと勘ぐりたくなる。 倫理はおろか法治国家として厳正に法が執行されないところに真の自由主義、民主主義は育たないであろう。西暦2000年は100年、1000年の節目として大変革の時代といわなければならない。太平洋戦争の敗戦によって財閥解体、農地改革、教育改革等を一夜にして受け入れた日本も官僚体制のみ温存することとなった。国民統治の方法としてアメリカも認めたのであろう。銀行に対する大蔵省の権限、産業界に対する通産省の権限、都道府県市町村に対する自治省の権限等。「民主主義政治」というより「官僚政治」というべきかもしれない。官僚に守られた官僚内閣なのである。それをある人は「おまかせ民主主義」「観客民主主義」という。 しかし、今こそ私たちはこの現状から脱却して「真の民主主義社会」を根付かせなければならない。最近言われている「地方分権」「情報公開」[NPO](非営利組織)が、これからのキーワードである。とりわけ「NPO」はその活動自体が真の民主主義の実践だといえる。今まで公益のための活動はすべて官公の独占だと思われてきた。しかし行政改革が叫ばれている今日、すべて官公のみが仕事をするわけにはいかないのである。阪神大震災の時ボランティアをしていた人が言っていた。「ボランティアをやっていたらいつのまにやらNPOになったのが実感です」と。 「介護保険」もまた「真の民主主義」を進める大きなきっかけとなるであろう。 今までは「措置主義」といって役所が税金で「かわいそうだから助けてあげる」という発想でしていた福祉であった。ところが介護保険は保険料を支払っているから権利として役所へ要求することになる。保険者である町は義務として住民へサービスを提供しなければならない。住民は自らの責任において自らのサービスの量と質、そして保険料の多寡を検証しなければならない。「介護保険」はまさに国民も保険者の町も意識の改革と発想の転換を迫られるであろう。各町間で格差が生じ、自治体間の競争も起こるであろう。安い保険料で高度な介護をしてくれる町へ介護移住も起こるかもしれない。又、「地方分権」によって各自治体の力量が鮮明に色分けされることになるであろう。その上「情報公開」にる「知る権利」は自治体た住民のために公平かつ効率的にサービスを提供してくれるか否かを浮かびあがらせるであろう。だからこそ、「地方分権」「情報公開」[NPO]「介護保険」等の新しいシステムがうまくかみあいよりよく機能するようにしなければならない。 それゆえ、私たち国民はそのシステムをよく理解し、自己責任を自覚し「言うべきことが言える」知識と勇気をもって、「真の民主主義社会」を根付かせるために努力しなければならない。 「みどりの風」をご愛読の皆様、共に頑張りましょう。 |
●みどり政経塾講義(日本経済再生論 【下】) |
前回は経済行為のうち消費部門を説明しました。今回は設備投資と政府部門等をとりあげます。 (2)民間設備投資(I) 利潤追求(金儲け)を前提とする資本主義社会において、経営者は儲けになると思えは設備投資をする。銀行の定期預金金利と比較して、銀行にお金をねかせておくより有利と思えば、工場設備を作るはずである。 しかしゼロ金利下でも一向に設備投資が増えない。バブル時代に大型設備投資をしてしまったことも原因の1つである。経済指標として、工作機械の受注状況に注意しているがあまり増えていない。ただ企業として、情報化社会に向けてコンピュータ部門等を強化する為設備投資が少しずつ増えてきている。 それでは設備投資を増やす政策手段は何か。投資減税という手段もあり、補助金もある。「産業再生法」により、ある一定の設備廃棄をすれば、補助金をくれるという制度ができるようだが、これはモラルハザードとも関連する。要するに経営者が未来に明るい展望を持つようにすべきである。 日本独特の規制を緩和してビジネスチャンスを多く作り、多くの起業家を育てなければならない。それには古い産業構造を改革し、国民のニーズにそった新しい産業を育成しなければなりません。 (3)政府部門(G) 混合経済体制の日本では、経済運営に公的部門(政治G)が大きな役割を演じ、景気調整などの政策をとる。財政金融政策がその中心となる。すなわち不景気の時は赤字予算を組み、公共事業を多くし、減税をして景気を刺激する。好景気となればその逆の政策をとる。 今はデフレ経済下の不況だから国債を増発して公共事業を多くしている。 公共事業を発注すると、建設会社が儲ける。建設会社はセメント会社等から資材を購入している。 セメント会社はセメントの原料を購入する。このようにして景気は累積的に拡大する。 これを乗数効果というんが、この乗数効果も高度成長期に比べて低下している。また公共事業も旧来のままで道路補修をすればよいというのではいけない。新技術革新に向けて、光ファイバー・コンピュータ・インターネット等情報化投資・遺伝子工学等新分野の公共投資を拡大しなければならない。限られた税金を効率的に使い、次世代に残さなければなりません。あまりにも旧来の道路・港湾・治山治水が多いのではないでしょうか。政治の支出面のみを述べましたが、歳入の視点からも検討しなければなりません。累進的所得税はもう限界にきています。 法人税も減税しないと経済の国際競争力がなくなります。消費税は増税の余地がありますが、国民の反発が強く、政治的に難しいと思われます。「増税なき財政政権」を目指さなければなりません。 それには、役所の仕事をできるだけ減らすことです。 官民の役割分担、規制緩和を強力に進めなければなりません。次に金融政策について述べます。 混合経済体制下の資本主義は「物価の安定」を目指して独立の中央銀行をつくって、その仕事を遂行します。日本も日本銀行が政府とは独立にその実務をしています。 金融政策は政府の財政政策とあいまって景気対策をしているわけです。 しかし日本の場合、日本銀行は大蔵省日銀課といわれるぐらい従属していた為、大きなバブルをひき越し、国民に迷惑をかけました。「財政」と「金融」を完全に分離し、お互いが切磋琢磨して初めて国民の為の経済運営ができるわけです。現下のデフレ経済下では、ゼロ金利にしても民間設備投資が増えないことは今まで話をした通りです。ケインズ経済学でいう「流動性のわな」といる異常事態に陥っているわけです。こういうときは金融政策よりも思いきった財政政策が必要です。 金融は早く不良債権を処理して一日も早く、健全な銀行に立ち直るべきです。 誤った護送船団金融行政を乗り越えて、銀行同士が競争して切磋琢磨することです。 過保護行政の為、銀行員は高給料で恵まれていました。これからはどうなるかわかりません。 銀行証券のみならず、生命保険・損害保険・建設業等、日本はあまりにも規制が強いと思われます。 「キャノン」や「ソニー」のような世界に羽ばたく企業もあれば、「ゼネコン」のように政府に「おんぶに抱っこ」の企業もあります。 日本の産業構造の改革は、そのままで日本経済再生論である、日本国家改革にも通ずる民主主義への道なのです。 (4)輸出と輸入 最後に輸出と輸入について述べたいと思います。 戦後、日本経済はアメリカの市場は無限大だあるという前提に立ってどんどん輸出を伸ばして発展してきました。日本経済が大きくなるに従って、こうした外需依存型経済から内需拡大へと声高に叫ばれますが、不景気になると輸出を拡大しようという意見もたい頭してきます。 変動相場制になった今日、1ドルが何円かということは企業の死活問題になってきます。 一般論として不景気の時は、円は売られ、ドル高円安になります。円安となると安い日本の商品は世界市場へ進出します。しかしアジア経済危機が叫ばれている今日、日本の輸出拡大はアジアからの輸入を増加させます。 この上、日本がアメリカ市場へなぐり込みをかければアメリカはどうなるでしょうか。ただでさえアメリカの国際収支は経常収支赤字が続いています。ドルの大暴落となり株価大暴落、世界経済の破綻になります。アメリカ経済に協力する形で日本経済の運営に努めるべきです。 あまり円高になっても困るが、円安も困ります。円高になりすぎれば、せっかく回復途上にある日本経済が再び転落する場合もあります。為替相場は市場にまかせて、内需拡大の景気回復策を考えるべきです。 3.まとめ Y=C+I+G+X−Mに従って、日本経済再生論を検討してきましたが、「こうすればよい」という方法はありません。政策手段も限られているし、目標を達して、Yを増加させる切り札もありません。 まず(1)銀行の不良債権の処理です。金融不安があると自分の預金は安全だろうかと、庶民は不安に怯え、浮き足立ちます.公的資金を投入してでも、不良債権を完全に処理することです。 (2)短期的政策として、やはり財政金融から政策を発動すべきです。従来と同じ方法だが、内需拡大の為に所得税減税、投資減税、法人税減税に加えて、公共投資を拡大すべきです。従来型とは違った情報・通信等の公共投資がよいと思います。 夏には大型の補正予算を組んで、切れ目なく公共投資を発注しないと景気は底割れします。 この公共投資が民間の設備投資に天下すればしめたものです。 (3)中長期的にはいかにすべきか。産業構造を変革していかなければ、「効率性」「非能率」なのです。これが今回の不況の源にあります。 役所がもっている評認可の権限を民間に開放すべきです。「ヤマト運輸」は運輸省と戦いながら今日の繁栄を迎えています。 ベルリンの壁の崩壊後の新資本主義は大競争の時代の到来を告げています。新しい時代に合うように官僚機構を変えていかなければなりません。 日本経済の再生は日本の政治行政、社会の変革の道なのです。 |
●「家族介護」の美風とは? |
社団法人 長寿社会文化協会(WAC) 常務理事 田中尚輝 人間なら誰でも自分の親を想い介護が必要になればなんとかしよう、と思うだろう。こうして全国各地において親の介護に多くの人が苦労し、奮闘している。だがこの家族介護に限界がきている。 その理由は、まず介護に必要な時間が大変に伸びてしまったことにある。40年ほど前に大内町三本松において他界した私の祖父母の寝たきり期間数は数ヶ月であった。当時はこれが普通であったが、今は寝たきり状態が10年も続くという例が多くある。これが24時間、365日続くわけである。また、家族構成が変わり一人暮らしや老夫婦だけの家族が4割を超え、嫁が介護をしてくれるといっても、その嫁が70歳を超えているという老老介護が多くなっている。 このような事情があるので、新しい制度が必要という議論があり、その結果として「介護保健法」が生まれた。すでに認定審査が始まり、来年4月からサービスが開始されるが、このような時期になって亀井静香自民党政調会長が「介護保健法」の見直しを提起した。その論拠が「家族介護の美風」を守るという大義名分である。すでに議論し、決着済みの幽霊が現れたような感じがするのは私だけであるまい。このような現場を知らない議論が出る理由の1つは、自治体の準備不足である。つまり自治体が住民に対してサービス提供ができる自信がないために、家族に介護の責任を押付けようとしているのである。この会報をお読みの皆さんの自治体は大丈夫ですか。私たちが自治体に責任をとらせてしっかりとしたサービスを提供させなければ「家族介護の美風」論は繰り返しでてくることになるでしょう。 |
●WAC香川みらいに集まれ!NPOを視野にいれて | ||||||||||||||||
津田町を中心とした近隣町を巻き込んだ全住民の総ホームヘルパー研修という遠大な目標をかかげて“WAC香川みらい”という会を立ち上げました。WACは高齢者のための全国組織である「長寿社会文化協会」のことであり、WACの様々な事業を展開するための一支部として認められたのです。只今会員は30名程度ですが、当面の目標はホームへルパー2級研修をめざしています。ホームヘルパー研修を希望する方、“WAC香川みらい”へ入会希望の方遠慮なく連絡してください。
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●編集後記 |
昔ある友人が言った。「人は限りなく太陽光線に引き離されつづけている。これが月日のめぐりとなり人の老と死はそのためなのだ。」その時私は言った。「それなら仮に光と同じ速さで駆けぬけることができたら、老も死もないのかしら」この会話の記憶が鮮明に私の心をとらえる。しかし人類はまだ光と同じ速さを獲得することはできないし現実に人は老い人は死する。宇宙の歴史から言えば、ほんの一コマの人類の歴史の中で今を生きている私たちは一瞬の生命体にすぎない。 私は人は歴史的存在であることを決して忘れてはならないと思う。それ故先人の人たちが残したものを検証し良きものをしっかりと次代に渡していかなければならない。西暦2000年のはじめに思ったことである。 |
政治は私たちの問題ネットワーク
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