◆◆◆みどりの風 NO.2◆◆◆
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1999.8.29
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●政治家は「官僚機構」に勝る見識と勇気を |
先の第145通常国会で二十一世紀の日本の行方を決める重要法案が自・自・公の合意により立て続けに決まりました。 情報公開法、周辺事態法、中央少省庁改革関連法、地方分権一括法、国会活性化法.改正国会法(憲法調査会設置)、国旗国家法、通信傍受法等・・・ これらの法がもたらすであろう日本の将来はどのようなものであろうか。ただ憂うべきは法があれどビジョンが無いと思うのは私一人でしょうか。いずれにしても世紀末のこの国会は良きにつけ悪しきにつけ歴史に残るものとなるでありましょう。 そしてそれらを悪しき未来、良き未来へとつなげて行くのは我々国民でありその行方を見定め享受するのも我々国民であります。 それ故我々国民一人一人は、我々の未来を託すべき真の政治家を選ばなければなりません。しかしその選んだ政治家が官僚によって手玉にとられるようでは何にもなりません。 戦後、軍隊や財閥は解体されましたが、官僚機構は温存され占領軍の先兵となって日本の戦後の幸か不幸か高度成長の原動力となりました。そのシステムだけは現在も変わっていません。東大等の一流大学を卒業した優秀な人材は官僚へと流れ、彼ら官僚に様々なことを教えてもらい学習し、彼らと対等に話が出来るものだけが幹事長、政調会長、大蔵大臣、総理へとなっていくようです。それ故官僚をないがしろにすることなど代議士先生には出来ないのであります。 しかし政治家にとってもっとも必要な資質は、未来を察知する高い見解と意志を貫徹する勇気ではないでしょうか。ある外交官がアメリカの故ケネディ大統領に「政治家として一番大事なことは何か」と質問したところ即座に「それは勇気である」と答えたという。 勇気無くして国民に思い切って発言し、説得し、指導することなど出来ないというのである。 次に外交官は故チャーチル首相に同じ質問をすると「それは奮起である」と答えたというのであります。いかなる困難があろうと、自らが奮起して事に当たり、全ての国民に奮起を起こしてこそ真のリーダーたり得るというのである。日本が生んだ偉大な政治家吉田茂氏は、ダレス国務長官の再軍備要求に「ノー」と答える勇気と「米ソの冷戦」は資本主義、民主主義のアメリカが勝利すると信じた「見識」とをもって、戦後の日本をけん引してきました。 明治維新・太平洋戦争敗戦後に匹敵するほどの歴史の大転換の時代、今こそ私たちは高邁な精神と高い見識と勇気を持った政治家を必要としているのではないでしょうか。 |
●「みどりの風」に期待する 弁護士 梅沢良雄 |
青春時代、都の西北早稲田の杜に学んだとき、クラスの中に政治経済が飯より好きな奴がいた。クラス討論には必ず出席していた。「政治と経済は一体だ」といって景気変動論の勉強をよくしていた。みどり政経塾の第1回勉強会のテーマが日本経済再生論となっているが「やっぱりそうか」と思った。人間の発想は変わらないのである。政治家になるんだと言って故郷へ帰ったが、出馬した様子はない。私はその後、法律家の道を志し法律で飯を食っている。突然彼の奥さんが「町会議員になった」と連絡を受けた。「ほんまかいな」と叫びたい衝動にかられた。美登里夫人とは何度も会い、食事を共にしたこともある。四国の津田町で宿泊したときは、酒も共に飲んだ仲である。彼女は理想主義者でロマンチストどちらかといえば文学少女、哲学少女といった感じである。およそドロドロした権力闘争とは無縁の女性である。だから信じれなかった。考えようによっては哲学者が政界へ進出しなければならないほど現代社会は病んでいるのだと自分自身を納得させた。日本新党の風に変わって、「みどりの風」を日本に吹かせたい。政界を一新したいとは大賛成である。
「みどり」は自分の名前ではなく環境をあらわすらしい。本当に21世紀は環境問題が主要なテーマとなるだろう。さらにインターネットにホームページを開き、世界に呼びかけるとは大胆な構想である。また「政治は私たちの問題ネットワーク」を設立し、参加を呼びかけている。私も入会する予定である。この政治ネットを大きく発展させ、「緑の党」を結成するつもりかもしれない。ドイツでは、「緑の党」が政権に参加し、キャスティングボードを握っている。とにかく、今の日本の政治は混迷をきたしている。冷戦後の視野が不透明なのである。それが日本の政治にも陰をおとし、自自公連立政権が出来ようとしている。早く確固たる政治思想のもとにスッキリした健全な議会政治が行われることを切望している。 そう思うと政治ネットが活躍し、全国にみどりの風が吹き荒れることも結構である。 |
●みどり政経塾講義(日本経済再生論 【上】) 2月14日(日) 第1回勉強会 |
1.経済分析の基礎 生物としての人間社会は複雑にできている。その複雑な社会を透徹してみる学問を我々はもっていない。政治学は政治現象を、経済学は経済現象を対象としている。しかし両者は表裏一体をなし不即不離の関係にある。経済学は人間個人個人が合理的に行動すると仮定し、消費(C)と貯蓄(S)をとりあげる。また利潤追求する民間企業の設備投資を分析手段とする。とりわけ混合経済体制下の経済運営の中で政府部門(G)の行動は最も重要である。国民取得をYとするとY=C+I+Gとなり、これが経済分析の基礎である。これに輸出(X)、輸入(M)を加減するとY=C+I+G+X-Mとなり、これが初歩的経済分析の道具である。逆にいえばこの式さえ覚えておけば、日本経済論を自己流で語ることができるし、新聞テレビでのニュースも容易に理解できる。 2.日本経済再生に向けて 日本経済再生とはYが増加すればよいのである。 (1)消費(C) 現代のようなデフレ経済下で消費をいかにとらえるべきであろうか。 消費はある時期には美徳であり、ある時期には悪徳である。今国民には1200兆円の貯蓄がある。このお金で商品をどんどん買えば、たちまち好景気となる。しかし個人はお金がなくなって困ってしまう。つまり「全体において正しいことは個人においては正しいとは限らない。」これを経済学では「合成の誤謬」という。今どうして消費が増えないのであろうか。将来に対する不安である。 高齢時代の医療・年金・介護に不安を持っている。将来の日本の姿と福祉が国民には見えないのである。その為、お金を使わないのである。政治がその方向を示さなければならない。 消費の指標は一般に新車登録、百貨店売上等である。いずれも低調であるが底をうちつつある。それでは消費を増加させる政策手段は何であろうか。 減税である。減税されると所得が増え、それが消費に向かうというのである。ケインズ経済学の初歩であるが、所得税減税しても今のような経済情勢では消費に向かわず、貯蓄に向かう場合もある。新規事業で政府は「地域振興券」を発行したが、クリーンヒットにはならなかった。凡打である。ただ経済政策について、国民全体で議論できたのは良かった。政策形成について国民が参加できるようになって初めて民主政治といえる。(以下次号) |
●編集後記 |
なかなか思うようにならないのが世の常。 「みどりの風」第2号をお手元にお届けしようとしていた矢先、人口透析と闘っていた夫の父親(舅)が亡くなりました。 思春期に実父と死別した私にとって、夫と同じくらい父との出会いを至福と感じてきました。 明治、大正、昭和、平成を個性的に生きてきた義父は、日々の生活の中で、自らの半生を誇らしく私に幾度も語ってくれました。人は人生の課程で、様々な人たちと出会い、別れます。その別れの度に、私はいつもある言葉を心に聞かせます。「人は死するにあらず、生者のあらんかぎり、人は生きん、人は生きん。」激情の画家ゴッホの言葉です。人はこの世に未練を残しながら忽然と去って逝く。しかしその空しさの中に、確かに存在するものがあるのです。その人の思い出です。私は、人間は素晴らしいと思います。心は宇宙よりも果てしなく広い。永遠に還らぬ人をさえ、心に描き、その言葉や人となりを思い起こし、笑い、涙する。だとするならば、自らの生を通じて清らかで美しいメッセージを子どもたちや友人に残したいとは思いませんか。 |
政治は私たちの問題ネットワーク
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